鹿肉 Q & A
Q1.鹿肉って食べられるの?
A1.はい、もちろん食べられます。
それどころか、鹿肉はヨーロッパ(フランス等)では高級食材のひとつです。日本でも昔から食べられていました。古来日本では食肉のことを「しし」といいます。また、鹿のことも「しし」と呼んでいました。つまり昔は肉と言えば鹿肉のことだったのです。
仏教の影響で江戸時代に肉食が原則禁止となって、そのような文化が失われたものと考えられます。その後明治時代になって肉食が解禁されて牛肉や豚肉は食べるようになっても鹿肉を食べるという習慣は復活しなかったので、鹿肉を食べることになんとなく抵抗があるのでしょうが、もともとはごく普通のことだったのです。
Q2.病気の心配は?
A2. 野性の動物の肉というと、まずエキノコックスの心配をされる方がいます。しかし、それは誤解です。
鹿は完全な草食動物です。エキノコックスは腐肉を食べた肉食または雑食性(例えばキツネ)の動物がかかるものです。鹿がエキノコックスにかかった例はありませんしありえません。寄生虫は動物の体内に宿るものであり、植物の中では生きられません。鹿がエキノコックスになるのなら放牧している牛や羊もなるはずです。キツネは牧草地を避けて通るわけではありません。また、エキノコックス自体、良い薬が使えるようになり昔のように不治の病というわけではありません。怖い病気には違いはありませんが、薬と手術でかなり良くなります。
むしろ鹿肉よりBSEの問題がある牛、残飯などなんでも食べさせる豚のほうがはるかに安全性に疑問があります。牛や豚には抗生物質を使うことがありますし、牛が食べている牧草は実は農薬を使って栽培したものです。牧草は単なる草ではありません。立派な農作物なのです。その証拠に酪農家は牧草地を畑と呼びます。農薬の影響は大きなものでは無いかもしれませんが、自然なものとは明らかに違います。ましてや輸入飼料で育てている牛が安全だという保障はなにもありません。その点鹿が食べている草はほぼ100%自然な草です。野生だから問題なのではなく野生だから安心なんです。
ただ鹿肉によるE型肝炎ウイルスの発症という事例もごく少数ながらあります。もっともこれは豚でも発症した事例があり、特に鹿だけというだけではありません。またE型肝炎ウイルスも自然治癒で治ることが多く、すごく恐ろしい病気というわけではありません。しかし妊婦などには危険だと言われており、妊婦や体力の弱っている人だけはねんのために生食を避けた方がいいでしょう。
Q3.鹿肉って美味しいの?
フランス料理でも高級食材として扱われているのをみてもわかるとおり、牛肉に似ていますが、さらに淡泊な感じで生のまま食べるとマグロの高級部位のような味がします。焼いてステーキも美味しいですし、ローストするのも美味しいです。
ただ、他で鹿肉を食べた人の中には獣臭かったという人もいるはずです。これはハンターが狩猟してきた鹿肉で血抜きをなどの処理を十分にしてないからです。ハンターは鹿の狩猟が第一の目的なので狩猟の後の面倒な処理を十分にしないことが多いようです。きちんと処理した鹿肉はけっして獣臭くはありません。
「狩人の匠」ではハンター肉も使いますがきちんと処理しています。また捕獲して一端鹿牧場で飼育してから必要に応じて処理する場合も味を落とさないようにきちんと十分な処理をしています。
そういえば伝統的にノーベル賞の受賞の晩餐会では鹿肉は必ず出るそうです。スウェーデンの郷土料理のひとつと捉えられているようです。偉大なるノーベル賞受賞者のほとんどが鹿肉料理を食べたことがあるというのも面白い話です。鹿肉を食べてノーベル賞を受賞したような気分を味わうのも一興かもしれません。